現在と過去が交互に語られ、過去が現在に収束していく語りが絶妙で、生い立ちの不遇から家族や社会にネグレクトされ続けた少女が成長していくさまをハラハラドキドキしながら応援できる感覚は、少女漫画的王道のそれであろう。少年漫画的な感覚でいうと、トリエラがなにごともなく成長していたら、というガンスリのアレであろうか。
終盤、現在と過去との交錯点間際で発生した出来事には唐突感と微妙さがつきまとい、結末において解かれた謎をもってしても読み手の傾いた首は完全に元に戻らず。あとがきにて訳者はジャンル識別が困難であると本書を評しているが、復讐するは我にありか、いい女には秘密が多いものよ、か。そんな印象が残った。
「ザリガニが鳴くとな?」
着手理由はそんなところ。回収はされていると思う。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2024年3月8日
- 読了日 : 2024年3月8日
- 本棚登録日 : 2024年3月8日
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