磯崎新の「都庁」―戦後日本最大のコンペ

著者 :
  • 文藝春秋 (2008年6月10日発売)
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新宿にある都庁、辺りを睥睨して何だか偉そうで実はまだ行ったことがない。年明けにEテレの番組「ランドマークで見る戦後70年」で都庁コンペで低層案を出してきた磯崎新のエピソードが印象深くて、何かないかなと見つけたこの本。すごく面白かった。都庁コンペでの磯崎とその師丹下健三の動きを起点に、それぞれの戦後の歩みを綴る。建築は”アート”では済まされず、政治的であり、社会と密接に関係するものであり、金もコネも運も必要。そういえば「大聖堂」も同じだ。低層にしたのは、仕事の流れ=書類の動きが必ずしも高層型(ツリー)にはなっておらず、いろんな関係省庁を動き回る「リゾーム」構造からというところはものすごく腑に落ちた。旧都庁の悪口とか、鈴木俊一都政時代に建ったいろんな建物の話も印象に残る。この本の白眉は「伝丹下健三とでもしておいてもらいたい」磯崎新のこの言葉に尽きる。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 建築
感想投稿日 : 2015年2月7日
読了日 : 2015年2月4日
本棚登録日 : 2015年1月13日

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