明治はじめの頃の様子を一般人から聞き書きしたものをまとめたもの。一般人と言いつつ初っ端から時代劇でもお馴染みの首斬り役人山田朝右衛門の最後の当主の話から始まる。
この最後の山田朝右衛門の話を電車の中で読んでいたら、ちょっと生々しい記述に無意識ながら思いっきり顔をしかめていたのだと思う。たまたま電車に乗り込んできた人に怪訝な顔を向けられてしまった。
これは上巻で、下巻もあるが、時代の移り変わりをみた老人たちから聞き取った「生」の話は面白い。話題はタイトルに百話とあるくらいで多岐に渡っているが、数ページに短くまとめられて読みやすい。
今でも年配者が「昔は今と違ってこうだったから良かった」というような、昔を懐かしむ愚痴をこぼす。著者の篠田鉱造がいつごろインタビューをしたか知らないが、明治の老人たちもやはり「今は昔と違って・・・」とこぼしているところに苦笑い。
そういえば「徒然草」でも兼好法師が、「今」という時代を愚痴っている。今から600年も前の坊さんが・・・。
しかし、聞くところによれば古代エジプト文明の残した遺物にも昔は良かったと愚痴ったヒエログリフが残っているのだとか。
だとすれば現代とはどれだけ酷い時代なのやら・・・。古人は愚痴をわざわざヒエログリフにまで残したかったのか?昔を懐かしがる気持ちというのは普遍的なものなのかもしれない。いやはや古人とは・・・。
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- 感想投稿日 : 2013年6月19日
- 読了日 : -
- 本棚登録日 : 2013年6月19日
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