明野神社の狛犬には、150年前に狛犬を彫った石工の魂が宿っています。
「あ」には親方の、「うん」には弟子・佐助の魂が。
彼らは話すことも動くこともできるのですが、6歳以上の人間には聞くことも見ることもできません。
彼らは人知れず、日々軽口を叩きながら明野神社の番をしているのです。
行方不明の犬を探す青年・耕平の力になりたくて、がんばる佐助を応援したくなってしまいます。
親方の言いつけをがんがん無視しちゃうので、読者はハラハラさせられっぱなしなのですが…。
情に厚い江戸時代の若者の一生懸命さが、ほほえましいのです。
それぞれの魂が宿った狛犬ですが、「あ」は親方の最期の作品、「うん」は佐助の初めての作品、というのが物語をより味わい深くしています。
岡本順さんの表情豊かな挿画がすてき。
ちょっと怖い顔をしている狛犬ですが、表紙の佐吉のなんともコミカルな表情にくすっと笑ってしまいます。
裏表紙のほうはにらみをきかせた親方。
この親方と弟子のコンビ、ぜひほかの作品でも読んでみたいです。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
児童書読みました。
- 感想投稿日 : 2013年6月30日
- 読了日 : 2013年6月24日
- 本棚登録日 : 2013年6月30日
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