作品はこりゃまた祖父がよく観ていた"The Last Emperor"。
2時間以上の超(長!?)大作で途中だらけちゃったり聊かえげつないところがあったり…案外カオスなものも好きだったのかな、とおじいちゃんを思い出しながらの鑑賞になった。
端整ですっきりした顔立ちのJohn Lone氏。
「この国を統治する」と野心的な目で辮髪を切り落としたり、はたまた天津のダンスホールではジャズを渋くて甘い声で歌い上げちゃったり。
多くの女性ファンを獲得したこともこれで納得できる。
青年期から老年期まで同一人物とは思えんくらい完璧な溥儀像だったと思う。(個人的には15歳時を演じていたWu Tao君も好き)
作曲ならまだしも坂本龍一氏が映画出演していたことには流石にびっくりした。
『アラビアのロレンス』(1962)のPeter O'Tooleなどキャスティングに力が入っていたけど、あの浩さん役だけはどうしても頂けない…
紫禁城での彩り豊かな思い出、天津・満州時代の華やかな日々、これまでの経歴を全て否定される寒色まみれの収容所、終盤の青菜がびっしり積まれた市場まで。色の使い方が本当に上手い。
あの超有名な即位式のシーン。
中国の伝統色が画面いっぱいに広がり、それはもう綺麗。思えば即位したその時に孤独な人生が運命づけられたのかな。
戦中・戦後と重苦しさはつのり、観ているこちらも辛くなる。
その分、あの紫禁城でのやり取りでは涙がとめどなく溢れてきた。
歴史の証人が去り、物だけがそこに残る。
あとはそれをどう受け止めるか、そこで映画は締めくくられた。
- 感想投稿日 : 2021年10月30日
- 読了日 : 2021年10月30日
- 本棚登録日 : 2021年10月30日
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