殿、利息でござる! [DVD]

監督 : 中村義洋 
出演 : 阿部サダヲ  瑛太  妻夫木聡  竹内結子  寺脇康文  きたろう  千葉雄大  橋本一郎 
  • 松竹
3.57
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本棚登録 : 547
感想 : 126
3

学者になるのであれば彼のようになりたいと密かにリスペクトしていた磯田氏。時代物でも史実に基づいた作品しか観ない私にとって『武士の家計簿』(2010)はまさに大当たりだった。
余計な見解を入れていないのにその時代の人間の気持ちが手に取るように分かるのが彼の特筆すべき手法である。
何としてでも史料をゲットしようとする歴史学者ならではの情熱もさることながら、小難しい話は一切挟まない読者にやさしい出来。

『殿~』の鑑賞を決めたのは、原作者が言わずもがな磯田氏であったのと学生時代ゼミで扱われていた題材だったから。
ちゃんと原作も買っているが、まだ一読もしていないという大変イタいパターン笑

瑛太の菅原屋さんが図太くてあまり好かなかった。自分の編み出した策がまさかの大ヒットしたことに対する戸惑いは理解できたが、あそこまで干渉していたのかなと首をかしげることもしばしば。
あとは妻夫木さんの浅野屋甚内の秘密を思わせる伏線が前半全く見られなかったこと。秘密が明らかになった時も、突然のカミングアウトと思った人もいただろう。

登場人物が多いのも特徴の一つである本作だが、その中でも主演の阿部さん、私の中でダークホース(!?)の草笛さん、堀部さんは良い意味で際立っており、何度も心の中で声援を送っていた。
松田龍平のポーカーフェイスによる圧迫面接は手に汗握った。

本作で磯田氏がまさかの郡奉行役で出演していたのにも驚いたが(エンドロールで思わず声を上げた)、史料に残された人々への敬意がご健在だったのにも大きく心を動かされた。

羽生さんの登場はキャスト陣も知らされていなかったんやってね。
彼の登場シーンはガチで皆驚いていたような気がする。着物の配色も手伝ってか、とても清冽な印象の若殿様だった。
故郷を思っての出演と公開前から聞いていたが、話題の種にしようとしているみたいで嫌だった。製作側のその思惑は私には見事に滑っていたように感じた。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2021年10月30日
読了日 : 2021年10月30日
本棚登録日 : 2021年10月30日

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