ミクロからサッカーを科学的に解釈するサッカー漫画シリーズの15巻は、物語的にもいよいよ佳境に突入しつつある。
天皇杯決勝の後半、2-1でリードする東クルと、ビハインドの状況で手を打ってきた横浜ユナイテッドの戦いぶりが描かれ、決戦を前に沖の提言で円陣を組む東クルの姿と笛の音で物語はクローズしている形だ。
この作品の肝であるサッカーの知識面では、「立甲」という概念が説明されている。
肩甲骨の使い方についての話であり、腕をどう使うか(外旋するか内旋するか)について、それらを効果的に使うことでキックのパワーが増す「内的運動量の一致」について触れられている。
面白いところは、内旋のメリットに触れながら、ワールドクラスのプレイヤーで外旋型の選手を巻末の対談で紹介しているところ。
ディ・マリアとクリステンセンを挙げているが、こうした例外にも触れているところが理論だけでなく、実践的に知識を用いていることを感じさせる。
物語的にも知識的にも相変わらず読ませる物語である。星四つ半相当で評価したい。
この佳境に至っての休載による刊行の延期は惜しまれるが、病気が無事完治してまた新刊が読めることを読者としては祈りつつ待ちたいところだ。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
ドナドナ
- 感想投稿日 : 2020年9月11日
- 読了日 : 2020年7月4日
- 本棚登録日 : 2020年9月11日
みんなの感想をみる