全盲の白眼子と呼ばれる男には不思議な力があり、姉の加代が自分の愛人且つ白眼子のパトロンを見つけ、新聞に細々とだが広告を出し、千里眼の様な力で人の生死を視たり、死んだ人の本当の望みを残された家族に伝えたりしている…前半は戦災孤児の光子はこの家に貰われて来て、捨てられた子供の心細い目線から、白眼子の挙動を見ている様で描かれ、白眼子の力の噂が人を呼び、美津子の従姉妹に彼女が生き別れになった子供である事が判明し、祖母に引き取られ、光子は白眼子の家の子供ではなくなってしまう。不細工で不器用で取り得なしと思い込んでいた光子だが、一目惚れの相手と結婚し子供を設け、月並みだが人並みの生きる場所を得る。
自分の力に対してあるがままにしか受け止めていなかった白眼子と言う男の欲のなさに心が揺さぶられる。彼が人間の中で唯一「見えていた(ぼんやりと光の輪郭として見えている。彼には動植物と光子だけがそうして見えていたと最後に語る場面がある)」光子と彼の繋がりに答えは出ていないが、音もなく佇む植物の様な彼の生が心に響く作品。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
少女漫画
- 感想投稿日 : 2015年7月17日
- 読了日 : 2015年7月17日
- 本棚登録日 : 2015年7月17日
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