まるで「会社四季報」のような外観の大著で、内容も一筋縄ではいかないが、ポスト構造主義のあと、カルチャル・スタディーズ、ポストコロニアル、ジェンダー論等と拡がった現代思想の代表作 。
従って読者の側にも多様な視点、切り口での取り組みが要求されるが、西洋近代批判のスタンスはフーコーとの親和性が高く、奴隷制を精神医学や監獄に、音楽を性に読み替えてみることも可能だ。
抑圧される側の抵抗の戦略としての本質主義・真正性への懐疑は、お茶漬けナショナリズムへの警鐘である。とすれば正にいまこの時の日本人にとっても切迫した話である。(結局は誰もがディアスポラ?)
鍵概念の一つであるヴァナキュラー(世俗的)な地平での音楽が担ってきた役割は、果たして今後も有効だろうか? そう願いたい、などと想い、ずっとエリントンを流しながら読んだ。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
哲学思想
- 感想投稿日 : 2014年1月5日
- 読了日 : 2014年1月5日
- 本棚登録日 : 2013年12月12日
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