リヴァトン館 上巻 (RHブックス・プラス)

  • 武田ランダムハウスジャパン (2012年5月10日発売)
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本棚登録 : 140
感想 : 14

悲しい。苦しい。でも少し嬉しく、やっぱり切ない。
こういう形のミステリは初めて読んだかもしれません。20世紀初頭にイギリスのリヴァトン館で起きた悲劇の真相が大きな謎になるのですが、その詳細がなかなか出てきません。どうやら詩人の自殺する瞬間を姉妹が見てしまった、それだけ。読み進めるうちにちょこちょこ謎に関する手がかりが出てきて、さらには小さな謎も出てきて、かなり終盤になってすら新しい謎が出てくる。そのすべての謎の内容と答えが一気に明かされるラストは、登場人物たちの感情も状況も重なって、ただただ圧倒されるばかりです。もう起きてしまったことなのに、歴史は変えられないのに、なんとかして止めたい。グレイスにも、ハンナにも、エメリンにも、ロビーにも、もっと違う結末があってくれたら。その秘密を70年以上も語らずにいた、忘れようとしていたグレイス。その葛藤を想像することすらできません。
「秘密」「ゲーム」「想像力」など、キーワードの使い方が効果的。諸刃の剣でもあるのだけれど、とても魅力的な言葉として描かれています。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 海外ミステリ
感想投稿日 : 2013年5月23日
読了日 : 2013年5月23日
本棚登録日 : 2013年5月23日

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