卒業式まで死にません―女子高生南条あやの日記 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (2004年2月28日発売)
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感想 : 212
5

私のことを
私が消えて
私のことを思い出す人は
何人いるのだろう
数えてみた

問題は人数じゃなくて
思い出す深さ
そんなことも分からない
私は莫迦
鈍い痛みが
身体中を駆け巡る (P.15)
怖いのです。何にもなれない自分が、情けなくて申し訳なくて五体満足の身体を持て余していて、どうしようもない存在だということに気付いて存在価値が分からなくなりました。ー所属する何かがないと、私はダメになってしまうようです。(P.298)
手首を切ったり、薬を飲んで自分を保っていたあやさん。それが彼女の生きやすさであり、ステータスであったのかもしれない。誰かに見捨てられる、見放されることに恐怖を感じ、自分では自分の頑張り、心を労わってあげられない。学校をサボったり、用事に遅れたりしているけれど、心の奥底は真面目な人なのかなと思った。彼女が死のうとして生きているのは偶然だったのか、必然だったのか。彼女の性格からして、早死や自殺は避けられなかったのかなとも思ってしまった。この世を去ることで、自分という存在を記憶の中の存在にする。これが彼女が望んだことだったのかな。不安や自己肯定感皆無に近い時は、私も薬を飲んで死んだように眠りたくなるので、気持ちがわかる気がした。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2023年6月13日
読了日 : 2023年6月13日
本棚登録日 : 2023年6月9日

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