- Amazon.co.jp ・本 (196ページ)
- / ISBN・EAN: 9784004303381
作品紹介・あらすじ
春夏秋冬、私たちは小鳥のさえずりを耳にしている。だが、いったい彼らは、何を歌っているのだろうか。恋のささやき、それとも縄張りを守るため?さえずりの伝授法や、鳥の方言、人間の物まねなど興味深いエピソードを数多く盛り込みながら、世界的に著名な鳥の歌の研究者が、30年以上にわたる調査の成果をやさしく語る。
感想・レビュー・書評
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[ 内容 ]
春夏秋冬、私たちは小鳥のさえずりを耳にしている。
だが、いったい彼らは、何を歌っているのだろうか。
恋のささやき、それとも縄張りを守るため?
さえずりの伝授法や、鳥の方言、人間の物まねなど興味深いエピソードを数多く盛り込みながら、世界的に著名な鳥の歌の研究者が、30年以上にわたる調査の成果をやさしく語る。
[ 目次 ]
1 歌とは何か
2 小鳥はなぜさえずるか
3 歌と環境
4 本能と学習
5 鳥の聴覚と発声
6 幼鳥の採集と世話
7 採集旅行の思い出
8 小鳥の歌の研究からみた人間の心理
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(2004.07.22読了)(拝借)
チュンチュン、カアーカアー、カッコーカッコー、と割と単純な泣き声からホーホケキョ、コケコッコー、デデッポッポーと少し長いものまで鳥の鳴き声は様々です。
同じ鳥の鳴き声でも、警戒音であったり、求愛であったり幾つかの鳴き分けがあるようなのですが素人ではわかりません。
鳥によって教わらなくても泣き方が決まっているものもあり、親や周りのなき方を聞いてなき方を覚えるのもあるようです。習わないと鳴き方が分からない種類については、人間の言語習得と似ている面があるようです。鳥の鳴き声の研究が意外なところで人間の研究につながってくるというのは以外でした。
「たいていの小鳥は15種類くらいの音声を出すのが普通であるが、日本では古くからそれらを、「囀り」あるいは「歌」と、「地鳴き」として区別してきた。「歌」は一般に、雄の成鳥が繁殖期に歌うものである。」
「歌を歌う鳥は、分類学的にはスズメ目に属する。世界中に約9000種類の鳥がいるが、そのうち4000種類がスズメ目に属する。すずめ、ホオジロ、ひばり、鶯、カナリア、からす、カケスなどがスズメ目である。」
(歌の方言)
「あるドイツの村で、一人の青年が毎日ガールフレンドに会いに来て、路上から口笛を吹いて彼女を呼んだ。そこが自分の縄張りだった一羽のクロウタドリが、その口笛のメロディーを自分の歌に繰り込んだところ、それが次から次へと他の鳥に伝染して、二、三年後には、村のすべてのクロウタドリが、そのメロディーのある歌をうたったという。」
(鳥はなぜ鳴くのか)
縄張りを主張するため 鳴き声を録音して流してみて確認
雄は雌を呼ぶために鳴く
固体識別 コウテイベンギン、つがいの識別、親子の識別
(歌の結晶化)
「鳥の歌は、ちょうど液体から結晶ができるように、無形状態から次第に形が現れて完成されていく。幼鳥のころは餌をねだる声や警戒音などの地鳴きしか出さないが、若鳥になると、それが次第に小囀りになる。次の年の春になって若鳥が性成熟してくると、句の形が徐々に固まり、二、三の句を節としてうたうようになる。鳥がさらに成長すると、句の形も節の内容も歌全体の構造も固まってくる。この現象を「歌の結晶化」という。多くの鳥では、結晶した歌は一生変わらない。」
「鳥は、親鳥の鳴き声をまねて鳴き方を学ぶ。」「隔離状態で育てると正常な歌をうたえるようにはならない。」「この点では、人間の言語習得に似ている。」
著者 小西 正一
1933年 京都市生まれ
1956年 北海道大学理学部卒業
1990年 国際生物学賞受賞
専門 動物学、動物行動学、行動神経生物学