波瀾万丈のSF叙事詩と言うのか、気宇壮大、天空海闊、空前絶後の宇宙闇鍋とでも言うのだろうか。流石にDan Simmonsである。ホメーロスの二大叙事詩「イーリアス」と「オデュッセイア」を下敷きに、様々な名作が引用されているのだが、時代は主に数千年後の未来、場所は地球や火星などなど(多元世界でもあるので、あくまで"主に”ではあるが)。そこには驚天動地と言うのか、多勢に無勢と言うのか、圧倒的な登場人物が出現するのであった。それでは、後は読んでのお楽しみ。ではまた…、
と言ってしまうと元も子もないような気もするなァ。アキレウスにアガメムノン、ヘクトルにパリスなどトロイ戦争関係者に、ゼウスにヘラ、アポロンにアフロディテなどオリュンポスの神々も勢揃い。何やら判らぬ知性体に翻弄される未来の古典的人類は、コピーされ過ぎて軟弱化・少数化してしまっている。最も人間的なのが半生物機械のモラヴェックのマーンムートやオルフなのだから、何とももはや和洋折衷じゃなくて生機折衷、支離滅裂。とは言え、やはりオデュッセウスはたいした者なのである。様々な熾烈な戦いの中、古典的人類や紀元前の人々は恐るべき敵に勝てるのか。また、大いなる謎は解明されるのだろうか。さァて、後は物語の中へとお進み下され。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
SF
- 感想投稿日 : 2010年3月28日
- 読了日 : 2007年8月5日
- 本棚登録日 : 2007年8月5日
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