さびしさを言語化して、その対処として「レズ風俗」に行った人のコミックエッセイ。
終始自分語りコミックエッセイですが、そのどうしようもないほどの自分語りが面白いです。
これは「レズ風俗に行きましたレポ」であり、色々なレズ風俗を巡って体験談を綴った「レズ風俗レポ」ではありません。
様々な精神疾患、気持ちの満たされなさ、不満、悲しさなど、作者の心身を冒しているものを分析、言語化し、その対処方法として「レズ風俗」を選び、実際に行ってみて、気持ちはどうなったのかまでを綴っています。
自己分析をしながら、文字通り、体と心もぐちゃぐちゃになって七転八倒を繰り返していく過程がとても楽しめました。
レズ風俗に通ったあともそれで解決するのではなく、一種の憑き物は取れても、別の悩みが見つかり、またグルグルと心身が転がっていく様は、本人にとって深刻でも、深刻だからこそ読者には笑いをもたらしてくれます。
エッセイのネタそのものの面白さもさることながら、作者本人の漫画の力が強くあり、自分語りのくどさを感じさせずにどんどん読み進めてしまいました。
永田カビさんはこの後もコミックエッセイを出されますが、この本でたどり着いた結論の一つ(例えば家族との関係)を後の本では「実は違うのではないか?」とひっくり返すこともしています。
他の永田カビさんの作品を先に読み、コミックエッセイの最初の本ではこう考えていたんだと楽しむこともできますし、この後に発刊されたコミックエッセイを読み、ぐちゃぐちゃの自己分析と葛藤のストーリーの序盤として楽しむこともできます。
- 感想投稿日 : 2021年10月28日
- 読了日 : 2021年10月28日
- 本棚登録日 : 2020年10月14日
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