試験の社会史: 近代日本の試験・教育・社会

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  • 東京大学出版会 (1983年10月1日発売)
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今後も「試験」は在り続ける。むしろ、高等教育を受けることができる機会が増えれば、試験の数は増えていく。入学試験の形態が変わったとしても試験じたいは無くならないだろうし、最近では卒業の統一試験の話さえある。一般化、客観化すればするほど、試験機能に頼らざるを得なくなる。本書を読んで改めてそう思わせられた。

試験制度の歴史と関係人物から教育政策を、ダイナミックに描写する様相は、『大学の誕生』に通ずる。大河ドラマ的とさえいえる生きいきとした写実が、天野節なのだと思う。

最近、そう難しくないことを、英単語のカタカナ表記日本語と、角ばった単語をあえて多用した論文を何本も読まされていた。本書を読んで久しぶりに「楽しい」と感じることができた。

★メリトクラシーは、日本の試験制度と密接に関わっている。知的能力は同じでも、生まれ育つ家庭が教育に価値を置く家庭か、経済的に豊かかどうかの程度で左右される。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 高等教育
感想投稿日 : 2012年6月28日
読了日 : 2012年6月28日
本棚登録日 : 2012年6月28日

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