川村邦光『オトメの祈り 近代女性イメージの誕生』で女学生向けの雑誌に興味を持ち、本書みつけて早速注文しました。実際にどんなものか読んで見たかったので。
装丁も表紙絵も可愛らしく、付録として絵葉書セットまでついています。本が到着した時など女学生のようにワクワクしました。一貫した美意識で作られているせいか、持ってるだけでお金持ちのお嬢様になったような、特別な気分になれるんですね。これぞ物の魔力でしょう。デジタル本には絶対に出せないパワーだと思います。
小説も広告も面白いのですが、中原淳一氏のイラストと、少女的な美に対するこだわりには特に感心いたしました。中原淳一氏の作品は見ているだけで一気に「少女たちの美しい叙情世界」へトリップさせてくれます。この雑誌が戦時中に規制されたのもうなずけます。
人気連載小説『港の乙女』第1回も、猛烈に続きが読みたくなる楽しさでした。皮脂のことを「脂肪」と表現してしまう当時の感覚にも新鮮さを感じます。現在のおばあちゃん世代も若い頃はこんな言葉遣いだったのでしょうか。こうした少女小説を読んで乙女心をときめかせていたのだと思うと急に親近感がわいてきます。
最後まで読むのがもったいないような本でした。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2022年4月19日
- 読了日 : 2023年1月28日
- 本棚登録日 : 2022年4月17日
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