学歴偏重社会の弊害については、資格のある学生の中からクジ引きで合格者を選別するというアイデアが新鮮に感じた。議員についても選挙ではなくクジ引きで当落を決める等の実験的手法が提案されているが、そうした偶然性を織り込ませることで、世の中に一定の余裕や豊かさが生まれるのではないかという考えには共感する。
最後の章の労働への承認については、給与税減税や逆に低所得者への給与補助というアイデアが示されるが、社会の共通善への労働を通じた貢献を考える際に、こうした金銭を持ち出す取り組みは矛盾しないのだろうか?或いはプロスポーツ選手の高額報酬に対して「金額が問題ではない、プライドの問題なんだ」とのコメントが紹介されるが、ここでもやはり結局は年俸の額面が焦点になる。
承認と金銭的報酬の分かちがたく結びついた関係に、著者でさえほぐしきれない難しさを感じてしまう。
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- 感想投稿日 : 2021年6月20日
- 読了日 : 2021年6月20日
- 本棚登録日 : 2021年6月20日
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