防衛装備品の調達の不安定性や調達数の少なさなどの特性が、防衛産業に、人や技術、ラインなどの生産基盤維持のための多大な負担をかけている。それでも防衛産業に携わり続けるのは日本の平和と安全に寄与するのだという彼らの使命感からであり、日本の防衛産業が今日まで続いてきたのは自助努力によるところも大きいが、同時に、苦境に耐えかねて防衛産業から撤退する企業もある。
昨今、防衛装備移転三原則が閣議決定され、防衛装備品の輸出も視野に入ってきたが、そもそも単価が高く、また日本の特性に合わせて作られたものと海外の需要がマッチするかといった問題や、いかに日本国内で名だたる大企業といっても世界をまたにかけるアメリカの大軍需産業に太刀打ちできるかということもある。防衛予算も少ない中、輸出に防衛産業の活路を見出すという考え方もあるが、その方法などについては慎重な検討が必要だと思った。
防衛省では、装備品の標準化手法として、「制式化」という、最初のモデルを大きくは変えない方法がとられており、装備品の統一性を図ることができる一方で、技術の進展に対応できていないという問題があったため、改善が進められている。
防衛装備品調達の現状と諸問題がまとめられていて、関心がある人には助かる内容。
一般市民にとっては関心の薄い内容だが、平和は座して待つだけで訪れるものではなく、自ら求め努力することが必要であり、防衛装備の供給を万全にしておくこともその一環だという意識を持つことが私たちに求められている。
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- 感想投稿日 : 2015年3月10日
- 読了日 : 2015年3月10日
- 本棚登録日 : 2015年3月8日
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