中村天風の生きる手本: 世界でいちばん価値ある「贈り物」 (知的生きかた文庫 う 9-1)

  • 三笠書房 (2007年2月20日発売)
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感想 : 20
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最近では、大谷翔平が支持しているということで話題になった中村天風の講演録。中村天風は、自分の死病を機にインドのヨガ指導者の元で修行して、心と身体の健康法を開発して、心身統一法として、真に生きがいある人生を生きる実践哲学を確立した人。その哲学は、東郷平八郎、尾崎行雄、後藤新平らに支持され、松下幸之助、稲盛和夫にも影響を与えたと言われている。私は、内田樹氏の合気道の師匠が師事した人だったということを知り、興味を持つ。
本書自体は、ざっくばらんな語り口だが、仏教や、ヒマラヤの大聖者の本とか、天外伺朗とかとも共通するところが述べられている。Wikiでは、ポジティブ心理学のカテゴリーに分類されると書かれていた。
精神論に偏る様な印象を覚えて抵抗を覚えるところもあったものの、マインドフルネスを実践してみると、中村天風さんの言わんとしていることは、腑に落ちるところもあった。中村天風の哲学やら、仏教の座禅、多くの瞑想の本をよみ、座禅とマインドフルネスを体験してみて、心の世界は確かにあるし、整えて行けるものだなと思い、修行していきたいと思った。
本書を読んで、学び取り入れてみようと思ったのはつぎのとおり。
・夜寝る時は、心を煩わさずに、嘘でもいいからポジティブに、自分は思いやりのある人間だなどの、ありたい姿を思って寝る。そうすれば、潜在意識に働きかけることもできる。
・無いものばかりを求めるのではなく、今、あるものの幸せを感じる。身体が病にあっても、満たされないものがあっても、今生きていることの奇跡を噛み締める。現在感謝の心を持つ。
・幸福は、自分の外にあるのではなく、自分の中にある。→心理学者の加藤諦三が紹介していた、あらゆる善の源泉が自分の外にあると思うと、自己蔑視になり、自分の価値を信じられずに精神的に参るという話ともリンクしていると思った。また、完璧主義で問題となる、他者への評価懸念という話とも通じるかもしれない。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 哲学/思想
感想投稿日 : 2021年10月16日
読了日 : 2021年10月16日
本棚登録日 : 2021年10月16日

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