政治の修羅場 (文春新書)

著者 :
  • 文藝春秋 (2012年6月20日発売)
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この本の筆者である鈴木宗男さんは、昭和44年9月から中川一郎氏の秘書となり、現在、日本維新の会の国会議員として活躍している政治家です。

筆者は言います。「秘書となってからの私には、お盆も正月もない。365日働いた」(19P)と記載があります。その頃から日本国のために粉骨砕身働いていると理解しました。また、昭和55年5月の衆議院と参議院のダブル選挙だったときの会話なのですが、筆者は、当時の大平正芳首相とは、考え方を異にする反主流派に属していたため、大平首相の批判をしていたのですが、心筋梗塞で亡くなってしまったため、中川先生に対して、演説の内容を「変えるしかないです。死者に鞭打つのは、日本人の感覚としては絶対ダメです。逆に敬意が必要ですから、ここはもう、大平さんほど偉い人はなかった。これで行きましょう。」(39P)と言った部分を読んで、私はとても柔軟性を持った政治家であると認識しました。ここで大平首相のことを少しお話させていただくと大平首相は私の地元香川が生んだ偉大なる政治家です。派手なことはせず地味な印象の方でしたが、保守本流の政治家の一人です。(大平さんのことを理解したいのであれば、「大平正芳」(服部龍二)が分かりやすいです。また「大平正芳」(福永文夫)も新書版で読みやすいです)

平成3年1月、筆者が外務政務次官であった時に湾岸戦争が始まりました。イラクで働いていたベトナム人がカイロで足止めとなっており故国に帰れないためベトナム政府から援助要請があった際、筆者が日本航空と全日空の飛行機をチャーターし、パリ、成田を経由してハノイに送り届けたことを読んで、世界が日本に求めている国際貢献を実行したと思いました。(136P)

筆者は、平成3年10月に第2次世界大戦中にリトアニアで外交官をしていた杉原千畝さんの名誉を回復しました。(183P)杉原さんとは当時の外務大臣の訓令に違反し、ユダヤ人に対してビザを発給し、6,000人の命を救った方です。人道的な活躍をした方の名誉を回復したこと本当に意義のある素晴らしいことだと思っています。

筆者は、北海道の出身ということもあり、北方領土返還交渉にも長年、尽力されてきました。当時のソ連の指導者である、ゴルバチョフ、エリツィン及びプーチンとも面談して交渉を行ってきたということが挙げられます。(158P~199P)筆者は言います。「日本政府にも外務省にもいま、ロシアと太いパイプを持つ人材がいないのだ。」(197P)私も同じ思いを持っています。今の日本で北方領土返還に向けて熱く煮えたぎるような気持ちを持っている国会議員は鈴木宗男さん以外にはいないと思っています。鈴木宗男さんと以前、外交官であった佐藤優さんがタッグを組んで対ロシア外交を立て直して欲しいと切に願っています。

最後に筆者は言います。「政治というものは、弱い人や困った人を助けるためにある」(229P)私も同感です。筆者である鈴木宗男氏には、これからも日本国を素晴らしい国とするため、いつまでも活躍していただきたく思っています。

素晴らしい本を出版してくれた筆者と出版社に深く感謝いたします。ありがとうございました。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 政治
感想投稿日 : 2022年8月20日
読了日 : 2022年11月3日
本棚登録日 : 2022年8月20日

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