劣化国家

  • 東洋経済新報社 (2013年9月20日発売)
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直観的だが、以下の2点の感想をもった。第1に、筆者の見方は名誉革命以降の英国モデルを理想とし、それが複雑化・不純化していくことにより国家が“劣化”していくという単純明快なものだった。ところが、英国モデルがうまく機能していた産業革命を例にとると、制度という外生的要因と市場という内生的要因が複雑に入り組んで起こったことも考えられるのではないか。第2に、国家の役割を「肥大化した」と捉え、その縮小を訴える論者はしばしば「市場に委ねる」ことを主張するが、筆者はNPOなど非市場的な団体の役割を重視しており、興味深く感じられた。本書はタイトルのインパクトが強く期待が大きかっただけに、内容はやや物足りなく感じてしまった。しかしながら、制度派の基本的な考え方を手軽に知ることができる、良い一冊だった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2015年5月2日
読了日 : 2015年5月2日
本棚登録日 : 2015年5月2日

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