朝の茶柱 眠り医者ぐっすり庵 (実業之日本社文庫)

著者 :
  • 実業之日本社 (2022年2月4日発売)
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感想 : 5
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今回は一心という人物に振り回せれつつ物語がはじまります。伯父夫婦はさらに千寿庵を手広くするために薬種問屋から紹介を受けて彼の商い方法を行っていくのですが、藍はどうしても彼が信用できない。彼に一冊の本を与えられて、これを読めば金がやってくるとも言われて、そんなことも今回は同時進行で物語は進んでいきます。

 『金持ち喧嘩せず』

 家で飼っていた猫が生んだ仔猫が全て三毛猫の牡だったために一匹百両で引き取られて、思いがけない大金を手にしたぼてふりの老人が眠れないと訪れて。

 五匹仔猫が生まれたので、全部で五百両!

 ですが、眠れなくなってしまってから、お金で買えないものもあると嘆く姿が哀れでもあり、考えさせられることもあり……。

 そして、出た答えに納得の一作でした。

 『眠れぬ親心』

 巣鴨の庄屋の又十郎は食べるにも困った貧乏同心の御家人株を養子縁組して手にいれたのは、大事な跡取り息子の伝太郎のためだった。けれども、本人は真面目に学ぶこともせず、勉学の際中に居眠りをしたり、いたずら書きをしたりで、親の気持ちがわからないよう。

 そのことに悩んで眠れなくなった又十郎はぐっすり庵へ。

 同じころ藍は一心にふさわしい女子になれと『春秋』を渡されて困り果ててしまう。開いたものの、そわそわして落ち着かず、挙句、眠ってしまう藍。(まー、そうだよねぇ)

 そして、伝次郎も同じ思いをしていることに心を痛めるのですが。

 この結末は。

 『眠り男の十八番』

 今回は噺家である乱太の相談。噺家である彼なのだが、致命的な欠点があった。それは彼が話を始めると客が寝てしまうこと(◎_◎;)

 茶を振舞ったらどうか等、考え込むぐっすり庵のメンツ。ですが、声がとてもいい乱太の話を聞き始めると否応なく寝てしまう。

 このままでは噺家としての未来がどうなるかわからない。

 そこで一心の話をしてみる藍。それを話にしてみる乱太だったのだが、どうも乱太はこの一心に似た人物に心当たりがあるようで。

 『嘘つきには、お茶を一杯』

 乱太のおかげで一心の正体が分かった藍。だが、伯父たちは藍と一心を夫婦にしようと考えていた。

 そんな時に眠れないとぐっすり庵へとやってきたのは一心。

 さて、物語の結末はいかに。

 今回もほっこりさせていただきました。そして、お茶を上手には私もいれられないなぁと(^^ゞ

 お話も楽しいのですが、それぞれの話のおまけとなるぐっすり庵覚え帖も楽しかったりします。

 美味しいお茶に和菓子が食べないなぁ。できれば、桜餅がいいです

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 操觚の会
感想投稿日 : 2022年2月12日
読了日 : 2022年2月11日
本棚登録日 : 2022年1月5日

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