上弦陸との戦いである遊郭潜入編が決着します。
「何度生まれ変わっても鬼になる」と言った妓夫太郎
「何回生まれ変わっても妹になる」と言った梅
その言葉が示すように鬼と妹の姿で地獄に現れる二人。
炭治郎と梅の言葉によって妓夫太郎は、「ずっと一緒だ」と約束した日々を、兄としての自分の想いを思い出し、
兄として人間の姿に戻って妹を背負い、地獄の炎の中に二人で消えていきます。
『鬼滅の刃』の良いところは、こういった描写で言葉や大げさな表現を使わないところなんですよね。
漫画の利点を使い、構図で、タイトルで、絵で、総力を使って自然に表現してきます。
説明されないからこそ、自分で気づいた時、読者は感情が激しく揺さぶられます。
この少年漫画らしくない体験を味わった人間は『鬼滅の刃』の虜となってしまいます。
遊郭を扱ったり世界が綺麗なわけではないことを描写しながらも、そんな世界で消えない兄妹の絆を描いたり、
辛い境遇であろうと罪が許されるわけではないなど、その他『鬼滅の刃』らしさも健在です。
2019年現在、『鬼滅の刃』の良さが最も強く込められた素晴らしい一冊だと思います。
表紙裏を見て思ったのですが、堕姫(梅)が帯を使った攻撃をしてくるのは兄が蛇を持ってる幼少の記憶からなのですかね…
(本書の鬼兄妹を見てると「誰ひとりとして悪を欲する人はいない」という有名なソクラテスのパラドクスが思い出されます)
■単行本おまけ
・表紙裏
・宇髄天元の初期案
・鬼殺隊Q&A
・鬼殺隊Q&AⅡ
・週刊少年ジャンプ花札付録(絵)
・週刊少年ジャンプ掲載ミニ漫画『バンド結成』
・ハイカラバンカラデモクラシー楽曲『前世の罪』歌詞(zenithu☆A作詞作曲)
・柱腕相撲ランキング
・腕相撲ランキング下位二名の感想
- 感想投稿日 : 2019年12月22日
- 読了日 : 2019年8月18日
- 本棚登録日 : 2019年8月18日
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