メリットの法則 行動分析学・実践編 (集英社新書)

著者 :
  • 集英社 (2012年11月16日発売)
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感想 : 91
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奥田健次さんの著書は現時点で3冊読了した。そのうちの1冊で、行動分析学の学びが多い一冊。
行動分析は、家庭での子どもへの教育やしつけに非常に役立つ考え方なので、覚えておいて損はない。

ちなみに、書籍「嫌われる勇気」や「幸せになる勇気」に感銘を受けた方は、僕同様に本書にもハマるに違いない。

この理由も含め、以下、特に気になった点を挙げる。

◼️ その行動がなぜ起きるのかについての理由を考えるとき、その行動の前に何が起きたのかを考えるよりも、その行動の結果として何が起きたのかを考えなければならないのだ。
→これが、前述した「嫌われる勇気」にある、アドラー心理学の目的論と似ているところだと感じる。アドラー心理学では、マインドセットについてだが、こちらは科学的に検証を重ねる実践的な理論。要は、具体性が高い内容になっており、そこが非常に面白い。


◼️ 行動分析の基本形はこの四つ。好子(メリット)と嫌子(デメリット)×出現と消失。 
→行動分析学の基本の型。本書や奥田さんの本を読む上でこの考え方は是非覚えたい内容。


◼️ダイエットなどの習慣づけが難しい理由は、行動の結果が直後に発生しないから。
→なるほど納得。習慣化できていない行動で、今後習慣化したい行動があれば、行動の直後に好子(メリット)が発生しやすいような工夫付けが大切だということ。例えば、自分なりに工夫して、100回連続して出来たら、〇〇(自分にとって魅力的なご褒美)をするなど。


◼️新しい技能を覚える際はムチは不要。アメとムチの発想を捨てる。
◎ムチの副作用
(1)行動自体を減らしてしまう
(2)何も新しいことを教えたことにならない
(3)一時的に効果があるが持続しない 。
(4)弱化を使う側は罰的な関わりがエスカレートしがちになる
(5)弱化を受けた側にネガティブな情緒反応を引き起こす
(6)力関係次第で他人に同じことをしてしまう可能性を高める
→このアメとムチの「ムチ」の副作用について、行動分析学的な考えを学ぶだけでも、本書を読む価値がある。子育てでは、思う通りにいかないことばかりだが、ムチを使わず、「アメとアメ無し」の考えを僕自身徹底したい。


◼️行動の機能4つ
行動を正しく理解するときは行動の機能を正しく捉えることが大切。行動の機能へ4つしかない。
◎物や活動が得られる
◎注目が得られる
◎逃避、回避できる
◎感覚を得られる
→各々の具体例、特に不登校になってしまった子どもの行動を機能分析して対処した例が多数載っていた。非常に勉強になる内容ばかり。


◼️トークンエコノミー法
トークンとは、「貨幣の代用」という意味で、特定の価値を持たせたスタンプやポイントのようなものである。エコノミーとは、そのまま経済学という意味でよい。
トークンエコノミー法を子どもへ使用する際は、トークン(好子)と行動の匙加減が大事。親の押し付けではなく、子どもがワクワクするような設定が大切。なので、「子ども自身がバックアップ好子を選択できること」「与えやすいもの」の2点を心がけるとよい。
→子どものお小遣いの設定や、子どもの頑張ったご褒美の設定、自分のやりたいことの習慣化のための設定など、子供へも自分へも応用できる考え方。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2020年10月17日
読了日 : 2020年10月13日
本棚登録日 : 2020年10月9日

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