死体が教えてくれたこと (14歳の世渡り術)

著者 :
  • 河出書房新社 (2018年9月22日発売)
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本棚登録 : 212
感想 : 27
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ティーンエイジャーに向けて書かれたものですが、成人にも刺さる素晴らしい内容でした。著者の仕事にからめて、人が死ぬとは生きるとはどういうことか、率直かつ平易な言葉で書かれています。

特に、第四章「人が死ぬということ」は必読。いじめによる自殺に触れ、「いじめは狭い井戸の中にいるからこそ起こる。世界はもっと広い。世の中に善意のある人々はたくさんいる。あきらめてはいけない。ひたすらに生きてほしい」と強く訴えている。本当にこの話は教科書に載せてほしいほど素晴らしい章だと思う。

第五章では、著者の人生や家族、死生観について語っている。人の死に数多く触れ「死とはnothingだと思う」という死生観を持っていた著者が、実際のご家族の死(ペットの死)を経験して「あの世に行ったら私の親を訪ねていきなさい」と自然に心に浮かんでき他というくだりは興味深い。たえず死と生を考える仕事をしていた著者でも、自分の身に起きた家族の死によって180度、その考え方を変えた。実際に経験してみなければわからないことはやはりあるのだなと思った。

若い頃に読んでいればきっと励まされ指針になったと思う。終始、子どもたちに向け、自分の人生で感じたことを誠実に暖かい目線で語っている。正しいことを語ったり成すことが難しい今、若い人には特に読んでもらいたい。著者に励まされ見守られているかのように元気づけられる、とてもいい本だ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2023年7月22日
読了日 : 2023年7月22日
本棚登録日 : 2023年7月15日

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