かなさんのレビュー(1年前の3.11)で、読まなきゃなーと思いながら1年経過経。三浦英之さんのルポはいずれも良質(読了3冊でそれ言う?笑)で、本書は昨秋に文庫化。読むなら今でしょ!と手にしました。
話は逸れますが、『南三陸日記』を皆さんぜひぜひ一読を! もう涙がちょちょぎれます! バスタオルものです!(偶然にも本日、チーニャさんが熱く語ってますね)
さて本作は、福島第1原発事故による避難指示区域とその周辺のルポです。《白地》とは、「帰還困難区域」の中で未だ居住が望めないエリア。国の除染で避難指示解除はわずか8%(2023現在)とのこと。
三浦さんは、そこに住む人の本音を聴き、感じ、伝えるために、現地に通い、移住し、新聞配達を手伝うのでした。
多くの方々と発災からその後が取り上げられています。避難先から被災地へ娘を探しに通う男性、高校馬術部の生徒たち、かつて甲子園でアトム打線と呼ばれ、今マスターズ甲子園を目指すOBたち、避難指示解除の街でたった一人で新聞配達をする青年、町民の辛苦を一身に背負って"闘う町長"、台風によるフレコンバッグ流出事故、葬られた復興五輪等々。
とりわけ、全町避難を強いられた浪江町長の、政治生命を賭けて取り組んだ「賠償問題」と「記憶の継承」は余りにも重く、その無念を想うと心が張り裂けそうです。
「福島の復興なくして日本の再生なし」と言い張った当時の政治家の言葉が、なぜここまで虚しく響くのか‥。真に被災者に寄り添うとはどういうことか、これほど考えさせられるルポもなかなかないような気がしました。
- 感想投稿日 : 2024年3月8日
- 読了日 : 2024年3月8日
- 本棚登録日 : 2024年3月8日
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