電車の中を10倍楽しむ心理学

著者 :
  • 扶桑社 (2014年4月22日発売)
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本棚登録 : 385
感想 : 24
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昨今の通勤電車でみる風景や、独特の「殺伐とした」空気がどのようにして生まれているのか、心理学の視点から解説した本です。

なぜ、多くの人が電車内でスマホや読書、音楽などに没頭するのかと言えば、周辺の他者を「没個性化」するため。それは、本来であれば他人には侵入してほしくない「パーソナルスペース」を侵害されなければならない満員の通勤電車というストレスフルな環境に適応するため、自身の縄張りに入ってきた「他人」を「もの」と考えることでストレスを軽減しようとする試みであるそうです。

本書の前半部分は、心理学の知見を実際の電車の風景にあてはめた内容であったので面白く読むことができましたが、後半に進むにつれ、「○○な人は××な性格(あるいはその傾向が強い)」という、いわゆる「血液型診断」の様相となり、些か興ざめしてしまいました。
たしかに、満員電車でストレスを感じさせる「音漏れ」や「足を広げての着座」「荷物の持ち方」…などの”問題行動”をとる人の性格を創造しながら「マン・ウォッチング」することは。感じるストレスを少なくする手段の一つであろうとは思いますが、もう少し理論的・学術的な記述が欲しかった、と思います。
「靴もきれい(きちんとしている)な人は、仕事ができる」と言われても、なんだかなあ、という感じです。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 仕事
感想投稿日 : 2020年11月19日
読了日 : 2020年11月19日
本棚登録日 : 2020年11月19日

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