ホットスポット ネットワークでつくる放射能汚染地図

  • 講談社 (2012年2月14日発売)
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P12
本書はディレクターたちが記した(ETV特集)シリーズ1回目から3回目の取材記になっている。

P283
ところでこの本では、通常の番組本では書かれない機敏な舞台裏も描かれている。それはNHKという組織内の状況もふくめ、番組制作され、放送にまで至ったプロセスを描かなければ、原発事故直後、日本中が「金縛り」にあったかのような精神状況、メディア状況下で作られた番組のメイキング・ドキュメントにはならない、と思ったからである。あれだけの事故が起こっても、慣性の法則に従うかのように「原子力村」に配慮した報道スタイルにこだわる局幹部、取材規制を遵守するあまり、違反者に対しては容赦ないバッシングをし、「彼らは警察に追われている」「自衛隊に逮捕された」など根も葉もない噂を広げた他部局のディレクターや記者たち。彼らはそのルールが正当であるのか否かを、自らの頭で考えようとはしなかった。有事になると、組織に生きる人々が思考停止となり間違いを犯すことも含めて描かなければ、後世に残す3.11後の記録とはならないと考えたのである。(七沢)

まえがき(増田秀樹)
第一章 事故発生から4日、電撃取材が始まった(七沢潔)
インタビュー1 木村真三博士に聞く・前編
第二章 科学者のネットワークを組む(七沢潔)
第三章 30キロメートル圏内屋内退避ゾーン──取り残された人々と動物たち(大森淳郎)
第四章 放射能汚染地図をつくる(七沢潔)
インタビュー2 岡野眞治博士に聞く
第五章 飯館村──大地を奪われた人々(石原大史)
第六章 子どもたちが危ない──福島市・校庭汚染と不安(梅原勇樹)
第七章 原発事故は人々を「根こそぎ」にした(大森淳郎)
第八章 科学者たちの執念──検出されたプルトニウム(渡辺考)
第九章 人体の影響を測る──木村真三博士と二本松市の挑戦(山口智也)
インタビュー3 木村真三博士に聞く・後編
「あとがき」に代えて(七沢潔)

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 社会
感想投稿日 : 2012年7月8日
読了日 : 2012年7月8日
本棚登録日 : 2012年7月8日

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