しょうがない人

著者 :
  • 中央公論新社 (2011年5月1日発売)
3.39
  • (4)
  • (37)
  • (46)
  • (8)
  • (0)
本棚登録 : 219
感想 : 43

+++
ネットショップ「スマイル・スマイル」のパート従業員・河埜日向子は、夫と中学生の娘がいる43歳の主婦。社長にして親友の渚左や、パート仲間と盛り上がる話題は、今まで出会った「しょうがない人」たち。―仕事、結婚、不倫、見栄、子育て、心の癒し、老後、財産などをめぐり、常連客や商売相手から、親戚、家族に至るまで、「私の事情」を盾に迫る人々を、著者ならではの軽妙なタッチとユーモア溢れる筆致で描く。
+++
「「はいはい、あんたはエライ」」 「結婚にはつきもの」 「ドラマチックがとまらない」 「思春期モンスター」 「狸男に未来はあるか」 「スピ様、お願い」 「普通にお家騒動」「厄介な荷物」 「世界で一番しょうがない人」
+++

要するに、日向子の周りのさまざまなしょうがない人の愚痴話である。日向子はそんなことは思ってもいないだろうが、日向子自身も実はしょうがない人のひとりのように見える。そして、日向子や「スマイル・スマイル」の社長やパート仲間の愚痴に、そうそうそうなのよ、と何度も深くうなずく自分自身も問答無用でしょうがない人の仲間入りであることを思い知らされるという仕組み(?)にもなっている。あーだこーだと愚痴をいい自分に言い訳をしながらなんとか日々をこなし、人間関係を捌いて生きていくのが人生というものなのよ、とまるで自分の愚痴を思い切り聞いてもらったような心地になる一冊である。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: た行の作家
感想投稿日 : 2011年6月17日
読了日 : 2011年6月17日
本棚登録日 : 2011年6月17日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする