リレキショ (河出文庫)

著者 :
  • 河出書房新社 (2005年10月5日発売)
3.47
  • (90)
  • (156)
  • (287)
  • (38)
  • (12)
本棚登録 : 1409
感想 : 174

+++
大切なのは意志と勇気。それだけでね、大抵のことは上手くいくのよ―“姉さん”に拾われて“半沢良”になった僕。ある日届いた一通の招待状をきっかけに、いつもと少しだけ違う世界が、ひっそりと動き始める。深夜のガソリンスタンドが世界を照らし出す、都会の青春ファンタジー。第三九回文藝賞受賞作。
+++

半沢良は誰なのか。読み進んでいけば謎が解けるのかと思ったが、そういうわけでもなく、物語は、半沢良を日々創り上げる過程が淡々と描かれている。そしてその結果が「リレキショ」に書き加えられ、さらに半沢良になっていく。名前や生年月日、生い立ちやさまざまなことは、生きていく上での必須条件ではなく、いまをどう生き、周りとどう関係性を築いていくかが大切なのだと思わされる。半沢良が本当は誰なのか、とてもとても知りたくなるが、それはたぶん知らぬが花でもあるのだろう。遠くて近く、とても寂しくてあたたかい。胸の奥がきゅんとする一冊だった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: な行の作家
感想投稿日 : 2020年5月12日
読了日 : 2020年5月12日
本棚登録日 : 2020年5月12日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする