何となく、トランスジェンダーというものが
聞いたり扱ったりするのに気を遣わないといけないような
風潮だが、映画の中では割とあっけらかんと性とか
性差について触れられているのがまず良かった気がする。
(もちろんそれは、リンコの母親の受け入れが
あったからこそだと思うけれど。)
その上での差別やら辛いことやらっていうのは
人間誰しも出会ったり受けたりするもので、
彼女にとってはそれが「男性だ」と言われる偏見で
それを編むことでぶつけて解消していく…という点では
ヒロミやマキオの母親と変わらないというのも
この映画で伝えたかったことなんじゃないかなぁ、と思う。
実の母、実の娘という関係性こそ、ややこしくなるというか
マキオの「愛してるとかそういうのとは別に人間としての
相性がある」というのは私と母もそうなので、ホントそう。
母親とトモがうまくいかなかったのは閉鎖的な関係で
逃げ場がないからで、
もしかしたらマキオとリンコのところという逃げ場が
見つかったエンディング以降ならば
お互いにうまくやっていけるかもしれないなぁ、と思う。
私自身、夫と結婚して無二の味方を得たからこそ、
実の母親とうまく付き合えるようになったから。
また、母と子(娘)という対比で、リンコとヒロミの
それぞれの母親との関係性というか、
100%受け入れてもらえたリンコと、
100%受け入れてもらえなかったヒロミ。
そこから子供(というか、身近な人)への対応が違う点。
母から受け入れられなかったという連鎖がヒロミからトモに
受け継がれようとしていたけれど、
リンコとの出会いでそれが断ち切られ、
むしろトモがヒロミを受け入れられるようになることで
ヒロミも、母から受け取れなかった愛情を
感じられるようになるんじゃないかなぁ、と
最後見て感じた。
- 感想投稿日 : 2021年1月18日
- 読了日 : 2021年1月18日
- 本棚登録日 : 2021年1月18日
みんなの感想をみる