危うい、人間性剥き出しの若者の物語。
生きている実感、自分と他人の関係性、大切な人の自分が知らない一面。
「自分」とは始めから明確に存在するわけではなく、それらによって浮彫りにされていく。そして、変質しつづけていく。
本作では、そんな主人公ルイの移ろう像を描いている。
また、本作では主人公や周りの人物の出自や家族構成、年齢などといった説明が不足し、登場人物同士にも、観客にも分からないままする。
肩書きや属性を知らない相手と仲を深めることは、「相手を知らない」ということなのか、それとも「余計なバイアスを排除した本質的な人間同士の付き合い」なのか。
ルイとアマはお互いに知ろうとしなかったし、たとえ時間を巻き戻れてもやっぱり訊こうともしなかった気がする。
他人のことは分からないし、自分のことはもっと分からない。正解はないし、仮にあったとしても絶えず変化し続けている。
ルイはこの後どうしたのだろう。
恐らく、ルイ自身が一番分からないだろう。分かろうともしないかもしれない。
説明しきれない、混沌とした痛々しい映画。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
映画
- 感想投稿日 : 2020年2月19日
- 読了日 : 2020年2月19日
- 本棚登録日 : 2020年2月19日
みんなの感想をみる