芥川賞受賞作。
なかなか久しぶりに芥川賞受賞作なんて読んだ気がするなぁと、過去の受賞作リストを眺めていたら、なんだタイトルは知っているものもちらほらだが、だいぶ読んだことなかった。
ましてや『コンビニ人間』なんて、読んでいながら芥川賞であることすら認識していなかった。
そんなんだから、”ぽい”とか”ぽくない”とか言う程の分際ではないのだけれど、自分のイメージ的にはまさに芥川賞って感じの内容でした。
なんとなく辿り着いた自転車便という職で、自分の未来について悶々とした思いを抱きながら、肝心の一歩を踏み出す程の真剣さも持てない主人公サクマの下り坂人生譚。
場面転換の鋭さや、一歩間違うとすぐそこにあるレールから外れた道を進まざるを得なくなる恐怖への煽りには力を感じたものの、ぐるぐるぐるぐる回るネガティブ思考とすべり落ちていくのっぺらな思い、ときに暴発する苛立ちは救いようがなく、苦悩ばかりが色濃い展開。
ごく限られた場面だけでここまでの苦悩を描き切ったのはさすが受賞作だが、自分的にはもう少しばかりの清々しさが欲しかった。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
小説その他
- 感想投稿日 : 2022年5月15日
- 読了日 : 2022年5月10日
- 本棚登録日 : 2022年5月15日
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