名探偵のいけにえ: 人民教会殺人事件

著者 :
  • 新潮社 (2022年9月15日発売)
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本棚登録 : 3106
感想 : 285
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「本書はフィクションであり、実在の人物、団体等とは一切関係ありません」というお断りに違和感を持つ。
”本書はフィクションであり”というところまではわかる。
物語なので想像やちょっと盛ってしまったこと、場合によっては事実でないことが含まれますという注意書き。
ただ、参考文献まで載せておいて、むしろ意識の矛先を誘導しているくらいだと思うのに”一切関係ありません”というのは。

ガイアナ共和国って本当にあるの!?っていう無知なところから入ってしまったけれど、wikipediaで”ジム・ジョーンズ”を見る限りでは完全にモデルでしょう。
一部史実に着想を得ていますくらいに言ってもらえた方が面白味が増すというものだが、関係者や関連団体からするとちょっと微妙な内容を含んでいるので問題になるのだろうか。

なったとして、ここまで似せている中で”関係ありません”と言い切ればよいというものなのだろうか。
この本をもって、想像される特定の団体・ことがらに対して固定観念を持たれるのは本意ではない、という表明ぐらいの話なのだろうか。。。
自分がその辺の事情知らなさ過ぎなだけかもしれないが、釈然としなかった。

で、物語の方は中々に面白い。
グロミステリーを武器に鬼才として名を馳せている白井さん、初読み。
思っていたよりは拒絶反応出なかったし、何かよくわからなかった前日譚がちゃんと回収されていたと感じたし、多重解決の亜種として楽しめたし。
まあ、主要人物がちょっとあっさり死に過ぎですけど。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 国内ミステリ
感想投稿日 : 2023年5月5日
読了日 : 2023年4月30日
本棚登録日 : 2023年5月5日

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