新しい環境教育の実践 (「子どもとおとなのための環境教育」シリーズ 1)

制作 : 朝岡幸彦 
  • 高文堂出版社 (2005年4月1日発売)
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 本書をひとことで言えば、若手研究者が多数参加して、ESD(持続可能な開発のための教育)を視野入れつつ、環境教育の歴史と展望を概説した本です。

 編著者の朝岡幸彦氏は、東京農工大学で環境教育学研究室を主宰してきました。本書は、この10年間の蓄積を踏まえて、朝岡氏ならびに同研究室のOB・院生たちが執筆したもので、ESD(Education for Sustainable Development:持続可能な開発のための教育)に関する近年の動向も視野に入れた、環境教育の最新の概説書と言えます。なお、本書は全10巻の「子どもとおとなのための環境教育」シリーズの初刊に位置づけられます(2010/12/10追記:諸般の事情により本シリーズは刊行途中でシリーズ打切りとなっています)。

 第一章は「環境教育とは何か~目的・概念・評価」、第二章は「子どもと環境教育~学校環境教育論」、第三章は「公害教育から学ぶべきもの~公害教育論」、第四章は「自然体験を責任ある行動へ自然体験学習論」、第五章は「環境教育における食と農の教育論~食農学習論」、第六章は「環境教育とコミュニティ~生活体験学習論」、第七章は「持続可能な開発のための教育構想と環境教育~ESD論」となっています。さらに、参考・引用文献、環境教育用語解説(キーワード三〇)、索引なども付いています。

 ESDを視野に入れた概説書がまだあまりない中で、ひとつの研究室でこうしたシリーズを刊行してしまうということ自体に、まず敬服してしまいます。本書を読むと、「環境教育学」という新たな学問を創り出していこう、という気迫を感じることができます。ただし、若手執筆者の主張がかなり前面に出ているものや、ある程度の予備知識がないと理解しがたいものも含まれていますので、学部生が入門書としていきなり独力で読むには、やや難しいかもしれません。

 それでも、たとえば最終章の鹿児島大学・小栗有子氏による「持続可能な開発のための教育構想と環境教育~ESD論」は、ESDの歴史と現状をコンパクトにまとめたものとして必読だと思います。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2010年12月10日
読了日 : 2005年8月11日
本棚登録日 : 2005年8月11日

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