中村天風と植芝盛平 氣の確立

著者 :
  • 東洋経済新報社 (1998年12月1日発売)
4.00
  • (10)
  • (10)
  • (10)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 109
感想 : 10
3

最近、特に合気道が気になります。

神秘のベールっちゅうか。実際のところどうなんだろうと。

名のある格闘技関係の人が口をそろえて言うのが、塩田剛三はホンマモン。誰も塩田剛三を貶す人は(少なくとも戦闘力において)いないようです。

その塩田先生が常に達人と紹介するのが、現在の合気道の創始者植芝盛平。

中村天風は言うまでもなく、東郷平八郎や松下幸之助などの錚々たる日本の根幹に関わってきた人が師と崇めている超人。

その二人に師事したのが、著者の藤平光一です。

先述の塩田剛三と並んで、合気道の巨人。昨年なくなりました。

なんで、この二人(中村・植芝)を並べて一冊の本にされたのか。真意はどこなんでしょうか。

はっきり言って、完全に中村天風に偏向しているような内容です。

植芝盛平がちょっと困った性格で、ずっと自分(藤平)の悪口を言い続けていたとか。自分が掴んだ合気道の極意は自身の研鑽によって得た(盗んだ)もので、植芝本人は、むしろ反対の理論を教え続けたとか。大本を押し付けられるのにも閉口したようです。

で、その辺を暴露するたびに、でも、師として尊敬してます、恨んでるわけではないです、とかフォローしてるあたりがあざといというか、カワイイというか。明らかに恨み節やん。

加えて、植芝は若いころはめっちゃ弱っちかったとか書いてます。

あまつさえ、大師匠であり神域にあると語られる大東流合気柔術の現実的な再構築者、武田惣角さえもその実力に疑問を呈しています。どんだけぇ~。

最後の方は自分の強さアピールもどんどんエスカレートしてくるし。ちょっと鼻白む?

最初の方は淡々と書かれていて好感を持てます。

戦争では最前線で隊長として、戦った。実際に怖かったことなど、本心を吐露しています。人間的です。

別にこの方がどうこういうつもりはありません。実際に非常にわかりやすく合気道の理論などを書いてくれています。って、自分もフォローしてるかな。

でも、これが実感なんですよね。

あと、佐川幸義や岡本正剛あたりのことがちょっと出てきたりすると個人的には楽しかったかな。

合気道のことがますますわからなくなる、面白い啓蒙書。

※あれ、これ塩田剛三のことかなと思われるような描写がさらっと出てきます。

植芝道場に毎日通って来ていた軍事探偵の男が、戦争が激しくなるとぱったりと来なくなった、と。軍事探偵として中国に渡った塩田のこと・・・?

(文中敬称略)

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 武道
感想投稿日 : 2012年2月21日
読了日 : 2012年2月21日
本棚登録日 : 2012年2月12日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする