考証要集 秘伝! NHK時代考証資料 (文春文庫 お 64-1)

著者 :
  • 文藝春秋 (2013年12月4日発売)
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感想 : 66
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テレビの時代劇。
時代考証を担当する「先生」以外に、テレビ局のスタッフの側でも担当がいるらしい。
本書の著者は、NHKでそのような仕事にかかわってきた人。
「歴史の隙間産業」と自称する。
後輩たちの参考に供するための、これまでの資料を書籍化したそうだ。

まず、タイトルにやられた。
元は源信の『往生要集』だが、ここにあるようなことを抑えていないと、まさにそのドラマが「往生」する。
たしかに、一向一揆のの農民が掲げているのぼりに「南無阿弥陀仏」と新字体で書いてあったら、合戦シーンにセイタカアワダチソウやヒメジョオンが映り込んでいたら、と思うと笑える。

扱う範囲は幅広い。
服装、食べ物、葬儀などの習俗、立ち振る舞い、言葉遣いなど多岐にわたる。
それが、「戦国時代まではNG、それ以後OK」などなど時期により判断が変わる。
演出上時代と異なることを映すと、歴史マニアから批判される。
しかし、ガチガチの歴史第一主義でドラマ を作ると、一般的な人の共感を得にくくなる。
そんなジレンマもあるようだ。
こんなお仕事があるのね~、と感心する。

言葉の問題(漢語で明治以後にできたもの)の指摘が多いのが印象的だった。
あとは、赤青鉛筆が西洋兵学で、味方は赤、敵を青で書く必要から生まれたという話など、面白かった。

続編も出ているようだ。
機会があったら読んでみたい。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2020年3月8日
読了日 : 2020年3月7日
本棚登録日 : 2020年3月8日

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