健康診断の正常値、天気予報の的中率、テレビの視聴率、消費期限、失業率、有効求人倍率、平均寿命などの数値を取り上げ、検討していく。
タイトルからして「嘘を見破る」と、糾弾調を感じるのだが、何かはじめに結論ありきな感じ。
リサーチ・リテラシーを身に付けたくて読んでいる立場からすれば、説明が不親切なところがあって、惜しまれる。
例えば、1章のスタチン剤(心筋梗塞を防ぐ薬)の効果を検証するくだり。
プラセボ投与グループと比べ、スタチン剤投与グループは31%発症率が低かったというデータをまず紹介し、しかし発症率の実際の数字を比較すると2.4ポイントの差しかない、と説明されていく。
「31%」という結果だけが示され、どういう数字を踏まえて割り出したのか、読者も確認できる書き方のなっていない。
たとえそれが医者が患者に示している資料の中にある言い方だとしても、元の論文にまでさかのぼっていくのなら、そこも含めて確認できるようしてほしかった。
縦書き文書で、説明するのが面倒なら、表にしていちらんにすればいいのに。
そういうプロセスを踏まないと、結局読者のリサーチ・リテラシーが高まらない。
筆者の「結論」をただ拝見するだけになってしまう。
話題としては面白いものもあっただけに、もうちょっと論じ方を丁寧にしてほしかった。
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- 感想投稿日 : 2015年12月26日
- 読了日 : 2015年12月26日
- 本棚登録日 : 2015年12月26日
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