本書は山川出版社が出している新版各国史シリーズの一つです。「中央ユーラシア」という概念は戦後に出た地理的概念というよりも文化的な概念が強く、東ヨーロッパから東北アジアあたりまでのウラル・アルタイ系の諸言語を話す人々が居住したすべての領域を含んでいるもととされています。その領域は「内陸アジア」や「中央アジア」よりも広いと考えていいようです。この地域は近年急速に日本とつながりが強化されています。しかし私たち日本人は中央ユーラシアに対してあまりにも知識が少ない、「シルクロード」や「チンギス・ハン」などしか頭に思い浮かべないのではないでしょうか。本書はロシアや中国など大国に翻弄されながらも主体的に活動したこれら中央ユーラシアに居住する諸民族を詳細に取り上げ、今後私たち日本人がどのように彼らと良好な関係を築いていかなければならないのかという示唆を大いに与えてくれる良書です。ただ、高校世界史以上の知識がないとちょっと内容が難しいのかもしれません。範囲が広い上、諸民族が入り乱れている地域を地理概念もふまえながら読むのは結構苦労しました。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
東洋史
- 感想投稿日 : 2007年2月4日
- 読了日 : 2007年2月4日
- 本棚登録日 : 2007年2月4日
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