パーフェクト・ハンター (下) (ハヤカワ文庫NV)

  • 早川書房 (2012年1月25日発売)
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本棚登録 : 150
感想 : 15
3

面白かったが、もし映像化されるならそちらを勧めてしまうかもしれない。文章化を堪能する傑作ではないし、映像で事足りるなら、その方がわかりやすいというタイプの作品だろう。

プロの殺し屋というカラーがヴィヴィッドな序盤は鮮烈だったが、陰謀のからくりと黒幕が明かされる頃から、一昔前のスパイ映画を観ているようでヴィヴィッドさが半減した。ある人物との接触で、乾いた空気が一気に湿っぽくなったのも残念。

逃亡と追跡に暗殺者集団が次々に引きずられ、世界中をぐるぐると回っているような感じ。行く先々で展開するアクションは緊迫してるし読み応えもあったが、全体的に金太郎飴的展開なので、何らかの飽きは来る。一流の暗殺者が、復讐だとかプライドだとか、任務に無関係な感情で突っ走る姿にも少し違和感を覚えた。

似たようなタイプではスティーブン・ハンターがいるが、あちらは“狙撃者”だし、とても太刀打ちできないだろうから、本シリーズには、“暗殺者”としてのキャラを確立してもらいたい。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 海外ミステリ
感想投稿日 : 2012年3月18日
読了日 : 2012年3月18日
本棚登録日 : 2012年3月18日

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