宝石商リチャード氏の謎鑑定公式ファンブック エトランジェの宝石箱

著者 :
  • 集英社 (2019年11月26日発売)
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本棚登録 : 356
感想 : 12
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大学生の成長と葛藤物語のような宝石商シリーズもアニメ化、ファンブック発売という人気ぶり。

就職で悩む時期はとっくに過ぎ去ったけど、あの有り余る夏休み、なぜ私はもっと勉強しなかったのか…!と社会人になってから一般教養の面白さに気付いた人も多いのではないだろうか。

ファンブックだが、小話が多く、本作ではすっ飛ばされている、卒業からスリランカに移住するまでの間のエピソードが多くて読んでて楽しい。
宝石にかんする知識と、お菓子の話が半々だが、月餅の売り方がバレンタイン並みだとか、資生堂フルーツパーラーの高級ぶり、日本語やシンハラ語に関しての豆知識がチラチラ出てきてふむふむと思ってしまう。
わかったつもりなんだけども。(笑)

小話の最後のストーリーで、正義がオペラにハマり、日本の若い男性として珍しいその趣味を誰にも共有できずに黙っていた時、ふとしたことでリチャードに露見し、それを笑わず、オペラコンサートのチケットをプレゼントしてくれる、という話で、正義がプリンが好きだと告白したリチャードを笑わなかっただろうか、と思案する場面がある。

一昔前だったら、大人がアニメやゲームを好んだり、デスメタルやオペラを好きだったり(音楽は家庭によるかも)、女性向けのブランドを男性が好むことは「異端なこと」とされ、それが世間一般だった。
今では大人も子供も電車で堂々と漫画を読み(アブノーマルな18禁モノを堂々と読まれるのは嫌だけど)、サンリオ男子なるものが表れ、ブランドショップにアニメとコラボした限定品が並び、オタクやレイヤーも増え、ユニセックスなモノや人が流行るようになった。(東京にいるとそう感じる)
股おっぴろげて座ってた友人の子供に、女の子だから広げて座らないようにって注意した時、友人に、男らしい、女らしい、はもう差別用語だって言われたときに衝撃を受けた。
性は生まれ持った個性じゃないの!?と思ったけど、個人の男性女性に対するイメージを押し付けるのがいけないって聞いて、納得したけど、志向の偏りがあるのが人間だから、完遂するのは難しいな。
でもリチャードならできそう。

ちなみに、電車に乗ることを考えたら、男も女も関係なく足を広げて座るのは確かにNGだよね。
うん、反省。

とファンブックから全く関係ないことを一つ学びました。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 宝石・鉱物
感想投稿日 : 2020年8月3日
読了日 : 2020年8月1日
本棚登録日 : 2020年7月12日

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