スシとニンジャ (講談社文庫 し 31-12)

著者 :
  • 講談社 (1995年10月1日発売)
3.39
  • (7)
  • (14)
  • (31)
  • (2)
  • (2)
本棚登録 : 147
感想 : 12
4

『スシとニンジャ』は、ブシとニンジャに憧れて日本にやつて来た22歳の米国青年、ジム・ストーニーくんの体験記といふ形をとつた小説であります。

実際に来日すると、普通の都会に洋服を来た男女が忙しく闊歩し、ブシやニンジャは見当たらず、キモノを着た女性もほとんど見かけないことに軽い失望を感じます。予備知識を仕入れてきたジム君ですらさうなのです。
ジム君は観光中に、サクラギ・リエなる若い女性の知己を得ます。親切な彼女のお陰で、日本滞在はまことに充実したものになつたのであります。
しかしリエはなぜここまで親切なのか? ちよつと不自然なくらゐです。これにはやはり理由があつたのですねえ。リエの目的とは...

好青年ジム君の目を通した日本。ダニエル・カールさんによると、これは自分のことだ!と感じたと言ひます。異なる文化が交はる時に生じる摩擦といふものが、当人には申し訳ないが、傍からは面白くて仕方がないのです。ここから教訓を導いても良いですが、ここではお屠蘇気分に浸りニヤニヤしながら読めば、実に愉しい一冊と申せませう。

http://genjigawa.blog.fc2.com/blog-entry-510.html

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 日本の作家
感想投稿日 : 2015年1月8日
読了日 : 2015年1月3日
本棚登録日 : 2015年1月8日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする