プレイボール2 1 (ジャンプコミックス)

  • 集英社 (2017年8月18日発売)
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本棚登録 : 118
感想 : 13
3

わたくしの漫画体験は、「ちばあきお」から始まつてをります。ゆゑにその代表作たる「キャプテン」「プレイボール」には、相当の愛着があるのです。
したがつて、コージィ城倉さんが、「プレイボール」の続きを描くといふニュウスを聞いた時には、実に複雑な思ひでした。「もう誰にも触つてほしくないな」といふ気持ちと、「谷口くんのその後がどうなつたか喃」と知りたがる自分がゐました。

しかし「谷口くんのその後」が描かれるのは、実は最初ではありません。以前発表された『ちばあきおのすべて』といふ本の中に、原作七三太朗(ちばさんの弟)・作画高橋広(ちばさんの弟子)による一篇があります。その際、七三太朗氏は、これはあくまでも自分が考へた「谷口のその後」である、ちばあきおがどう考へてゐたのかは今となつては分からないので、正解はないといふ意味のことを述べてゐました。

なある、漫画家の数だけ「谷口くんのその後」があつても不思議はないな、と思ひ直したら、俄然読みたくなつたのであります。
コージィ城倉さんは、執筆するにあたり、「何も足さない、何も引かない」と述べ、ちばあきお世界の継承を宣言しました。
とはいふものの、コージィ城倉さんは独特の世界観を持つひとかどの漫画家でありますから、ちば作品そのままの内容になるとは思へません。これはまがふ方無く、コージィ城倉さんの「著作」であります。

谷口のキャラが変つたとか、井口が大人しいとか、丸井が矢鱈好い奴だとか、イガラシが案外簡単にへばるとか、倉橋が谷口に突つかかるとか、シゴキが異常だとか、金属バットを使はないとか、全体の雰囲気が少々重いとか色色ありますが、やはり続きを読める悦びを味はひたい。
あへて感想を述べると―

井口やイガラシが、「硬球の壁」にぶち当つてゐます。しかし谷口が初めて硬球を扱つた時は、まるでそんな壁は感じませんでした。精精、フリーバッティングで芯を外したときに、手が痺れたくらゐのものです。それを考へると、実力者の井口・イガラシがここまで苦戦するのは不自然だな。
谷口が猛特訓でナインをしごくのは以前からありましたが、そこへ至るまでに、谷口くんは相当悩みます。そしてそれは明確な目的が周知されてゐるので、読者も安心でした。しかしここでの谷口くんは、ちよつと読者を置いてけ堀にしがちですな。

しかし、第2巻を待つわたくしがここにゐます。今後の展開がどうなるか、やはり愉しみであると申せませう。

http://genjigawa.blog.fc2.com/blog-entry-727.html

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 漫画
感想投稿日 : 2017年11月23日
読了日 : 2017年11月20日
本棚登録日 : 2017年11月23日

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