著者の牛山隆信さんのことは、漫画『鉄子の旅』で知りました。
旅の案内人・横見浩彦氏の暴走ぶりと比べ、実に冷静温厚な印象で、常識人といふ感じを受けたのであります。
その後秘境駅のTV番組に牛山氏本人が出演し、やはりテンションを抑へた調子で秘境駅の解説をしてゐました。意外と普通の人なんだな、とその時は思ふのです。
ところが本書を読むと、やはり普通の人ではないことが判明します。
北から南へ、選りすぐりの秘境駅31駅を紹介してゐますが、まづ普通の人なら近付かうともしない駅ばかりですね。例外は最後の肥薩線の駅でせうか。これらは「いさぶろう・しんぺい」なんかで訪れた人が多いかもしれません。
牛山氏は、秘境駅を「鉄道以外の手段でたどり着くのが困難な駅」と定義してゐます。駅に通じる道がない、周囲に民家がないなどその存在意義が疑はれる駅ですね。そんな駅にわざわざ苦労して訪れて、時にはやむなく線路やトンネルを渡ります。これは真似をしてはいけません。
そして宿泊は駅寝。まあ普通の妻子持ち会社員なら避けるでせうが、著者はむしろ嬉々として敢行してゐます。いかに気に入つた駅であらうと、わたくしはそこで寝やうとは思ひませんな。
しかしそれぞれの駅自体にはえもいはれぬ魅力を感じるのであります。「俺も行つてみたい!」と考へる人たちのために、それぞれの章末に「ビギナーのための行き方ガイド」が付されてゐます。
くれぐれもマナアを守つて、秘境駅めぐりをしませう。
わたくしから一言述べますと、長時間の待ち時間もあるので、本を持つて行くと良いでせう。ま、JTB時刻表一冊でも十分愉しめますが...
http://ameblo.jp/genjigawa/entry-11171738168.html
- 感想投稿日 : 2012年2月22日
- 読了日 : 2012年2月22日
- 本棚登録日 : 2012年2月22日
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