食の面から人類を捉えようとした学者の一人が中尾佐助先生です。文化人類学者としての目と、旅人の目の両方を兼ね備えていたような文章で、とても読みやすい本です。
以前、パスタの起源は中国にあると主張した中国の料理人がいました。イタリアのほうから言わせれば、ラーメンの起源はパスタにあると主張したいところでしょう。どちらが元祖で、どちらが起源か私はその後の結論を知りませんが、食というものが昔からその民族を象徴する文化そのものであることを、この議論から改めて知りました。
小麦粉を使った様々なものが世界各国にありますが、その食事の形を集めてみると、その地域の気候や文化、民族性などすべてがそこに顕れているのかも知れません。
中尾佐助先生は、ブータンにも造詣の深い方です。ブータンには蕎麦あり、そこにも日本人のルーツを感じる“食”文化があります。そんなところもあって、中尾先生はブータンに魅かれていたのでしょうか・・・。
旅の楽しみである“食”を通した文化人類学の入門書として、とても読みやすい一冊です。暑い夏、冷やし中華をすすりながら、小麦粉文化を楽しむのもいいかと思います。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
食事・食品・食材
- 感想投稿日 : 2010年5月13日
- 読了日 : 2010年5月13日
- 本棚登録日 : 2010年5月13日
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