仕事上の必要があって、大武ユキの『フットボールネーション』の既刊1~7巻を読んだ。
サッカーマンガなのに、サッカーに微塵も興味のない私が読んでもすごく面白かった。
本物のエンタテインメントとはそういうもので、「その世界にくわしい人でなければ楽しめない」ようでは、エンタメとして二流なのだと思う。
たとえば、私は麻雀をやったことがないしルールも知らないが、それでも映画版『麻雀放浪記』(和田誠)はすごく面白かった。
この『フットボールネーション』は、運動科学総合研究所の高岡英夫の「科学指導」のもと、科学的なサッカー理論をふまえた、いわば“理詰めのサッカーマンガ”である。
「もも裏筋」などのインナーマッスルを使うことの重要性をはじめ、作中で描かれる訓練法や監督の指導はどれも、ド素人の私にも納得のいく合理的なものだ。
“理詰めのサッカーマンガ”といっても、頭でっかちで堅苦しいマンガというわけではない。
主要キャラはみんな「キャラが立っている」し、型破りなアマチーム「東京クルセイド」がプロチームを次々と破っていく基本構成も、昔ながらの少年マンガの王道を行くものだ(連載誌は『ビッグコミックスペリオール』だから青年マンガだが、内容はよい意味で少年マンガ的)。
あの『ラストイニング』が本格的な野球理論を持ち込んで高校野球マンガに革命を起こしたように、『フットボールネーション』はサッカーマンガの革命と言える……のではないか(ほかのサッカーマンガをよく知らないので、自信なさげ)。
- 感想投稿日 : 2018年10月6日
- 読了日 : 2015年6月30日
- 本棚登録日 : 2018年10月6日
みんなの感想をみる