2011年の単行本デビュー作。
感染症のアウトブレイクを描いたマンガとして、大変よくできている。
やはり感染症のアウトブレイク/パンデミックを描いた『リウーを待ちながら』の、プロトタイプともいうべき作品。
『リウーを待ちながら』と比べると、絵柄が生硬であるなど、やや未熟ではある。それでも「習作」という印象はなく、これはこれで十分に完成されている。
東京湾岸の架空の街「潮浦地区」を舞台に、ハンタウイルスのアウトブレイクを描いている。
地区は感染拡大を防ぐべく封鎖され、そこから「脱走」しようとすると逮捕されてしまう……などという描写が怖い。
「クラスター」「エアロゾル化」など、今回のコロナ禍でマスコミ上に飛び交っている用語が頻出する。本作をコロナ前に読んだら絵空事に思えただろうが、いま読むと怖いくらいリアルである。
ヒロインの女医・鈴鳴をはじめとしたキャラも立っているし、演出もうまい。歌舞伎の見得のようにビシっと決まったコマが随所にあるし、心に残るセリフも多い。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
マンガ/あ行の作者
- 感想投稿日 : 2020年4月21日
- 読了日 : 2020年4月21日
- 本棚登録日 : 2020年4月21日
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