アンモラル・カスタマイズZ

著者 :
  • 太田出版 (2012年12月6日発売)
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本棚登録 : 179
感想 : 26
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 これまで風俗情報誌や牛丼専門誌(!)などを出してきた零細出版社が、社長の思いつきで突然女性ファッション誌『カスタマイズ』を創刊。そこから生まれる騒動の数々を、下ネタ満載、アイロニーの毒満載で描くギャグマンガである。

 女性が女性を「批評」することで笑いを取るマンガやコラムが、近年一つのジャンルを形成しつつあるように思う。峰なゆか、犬山紙子、瀧波ユカリ、ジェーン・スーあたりの著作のことだ。「同性批評」とでも言おうか。
 カレー沢薫のこのマンガも、その「同性批評」のバリエーションだと感じた。

 ただし、峰なゆかや犬山紙子の作品のベースに“美人ならではの勝ち組目線”があるのに対し、カレー沢薫の場合は負け組の目線から(※)他の女性たちを鋭く批評する。その批評が的を射ており痛快であることから、笑いが生まれるのだ。

※いや、ご本人のお顔は知らないが、コラム等での自己申告による。サイン会に行った人が書いたブログによれば、意外にも「ふんわり美人」だったそうだが……。

 この『アンモラル・カスタマイズZ』は、女性誌編集部が舞台だから、その批評眼が随所で思いっきり炸裂している。ギャグの密度が濃いので、わずか130ページ程度の本なのに読み応えがある。

 カレー沢薫はコラムニストとしても活躍しており、文章も面白い。現時点で刊行されている唯一のコラム集『負ける技術』(講談社文庫)も、買うことにする。
 「マイナビニュース」で連載されているコラム「兼業まんがクリエイター・カレー沢薫の日常と退廃 」も、すでに1冊分くらいになっているが、これも全部読んだ。

 作風がやや下品なので万人向けではないが、下品耐性のある人なら楽しめるはずだ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: マンガ/か行の作者
感想投稿日 : 2018年10月2日
読了日 : 2016年2月11日
本棚登録日 : 2018年10月2日

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