運の話と、"私はあなたについての話をしているのだ"が印象深い。
シャスタとアラヴィスを助けてくれた仙人が言う。わしは運というものを見たことがない。今回のことはわしの理解を超えている。しかし、理解すべきことであれば、いずれ知れるときがくるだろう、と。
これには信じることのプラスの側面を見た気がする。いまや実力も運のうちと理解する私であるが、境遇を奢らずかつ目を背けないでいられる、強い姿勢があるのだと知らしめられる。
"私はあなたについての話をしているのだ"は、なかなか厳しい言葉だ。
自分の行いを反省したあと、自分の過ちによって災いを被った人を慮る。それ自体は間違ってはいないのだろう。しかし、それは誤った自己慰撫に転化しうる。償ったからもうよいであろう、それほどの害とはならなかったからよいであろう、と。しかし、問題はあくまで自分自身の中にあるということ。そのことから目を逸らすことを許してくれない。
読書状況:いま読んでる
公開設定:公開
カテゴリ:
未設定
- 感想投稿日 : 2022年6月13日
- 本棚登録日 : 2022年6月6日
みんなの感想をみる