八日目の蝉 通常版 [DVD]

監督 : 成島出 
出演 : 井上真央  永作博美  小池栄子  森口瑤子 
  • アミューズソフトエンタテインメント
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本棚登録 : 2464
感想 : 553
4

角田光代さん原作、成島出監督の『八日目の蝉』。成島監督は『ソロモンの偽証』しか観てなくて、あの映画は私にとってはがっかりというかぐったり映画でつまんなかった。
ですが『八日目の蝉』はちゃんと面白かったです。映像がとても綺麗だし、構図も好き。ただ、最後のシーンが「なんでそうしちゃうの?」って感じでダサかったので★4。角田さんの原作のせいなのか奥寺佐渡子さんの脚本のせいなのかなんなのか。角田さんは昔、久世光彦さんに「だから何なの?」と言われたそうで笑ってしまった。久世さんと言えば『パーマンはそこにいる』。
あと、細田守作品がつまんなくなったのって奥寺さんが抜けたからじゃないのかなあとぼんやり思っています。映画は色んな人の手が加わるから評価のしどころが難しい。成島監督は原作や脚本に左右されてしまう人なのかもしれない。

角田さん原作だと『紙の月』の映画版を観てるくらいです。共通するのは「女性のクライムもの」。クライム映画、犯罪映画ではあるけど、あくまで女性のドラマ映画。以前書いたけど、『団地妻 昼下がりの情事』→『DOOR』→『OUT』→『八日目の蝉』→『紙の月』みたいな。クライムされる作品も混ざってしまった笑。

私が最近考えてたこと……
昔の小説だと男性が書いたものを読むことが多いのに、最近の小説だと女性が書いたものを読みたくなってしまう。これまでその理由を考えたことがなかったけど、この映画を観て少しわかったかもしれない。

昔だと、戦争が文学や映画に与えた影響ってすごく大きかったから、男性作家を読みたくなるのかなと(もちろん男性作家の方が多かったこともあるけど)。皮肉な話だけど、戦争など社会的な問題があった方が、文学や映画って面白くなってしまう。対して、今の社会的な課題や私個人の関心が、女性に関することだからなのではないか……。ぼんやりと考えながら、なんとなくそう思う。

『八日目の蝉』、永作ちゃん演じる主人公が、女の子を誘拐して育てるって話。育てられた女の子の成長後が、もうひとりの主人公井上真央。永作ちゃんが女の子を誘拐した理由が、子供を産めない体になってしまったからで……これは本当に、私は見ていて辛かった。私は男性だけど辛い。なぜかというと、女性は出産する年齢に限界があるからで、この映画のように原因がないとしても、全ての女性の話に思えるからです。私も年を重ねてきて、このことは本当によく考えます。辛いです。

他に、チョウユンファじゃなくて劇団ひとりが演じてる男がクズすぎるなあとか、小池栄子はこういう役をさせると本当に面白いなあ、など。
森口瑤子さん、これを観る前日に観た『鬼平犯科帳』にたまたまゲストで出ていて、若い頃はめちゃくちゃ可愛いので驚いた。ただ、顔が整ってる人イコール魅力的かというとそれはない。最近だと、この人は異常に顔が整ってるなあと思うのは芳根京子ちゃんとかですかね。この映画の頃の森口瑤子さんはちょっと年とってシワが増えてるから、そこが良い。

あと、永作ちゃんってほんと老けないですね……この映画では役の為か痩せてて逆に老けて見えるけど。永作ちゃんみたいにちょっとエラが張ってる顔の人って、老けにくい気がする。だから有村架純ちゃんとかは老けにくいのではなかろうか……女優さんの顔のことばっかり書いてしまった。

この映画、以前テレビで放映していて、ラストの方で吉田羊さんがチョイ役で出てるシーンがあって、そこだけ偶然観てしまった。ネタバレしないようにすぐチャンネルを変えたけど、クライマックスのめっちゃ重要なシーンでしたね……観ないようにしてて良かった笑。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ドラマ
感想投稿日 : 2021年1月30日
読了日 : 2021年1月26日
本棚登録日 : 2021年1月26日

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